こうなっては部下との人間関係がネックになり、お互いに余計な気を取られて職場がギスギスしてしまう。
互いの価値観の溝を埋める教育が不足していたのなら、まずは上司である自分が持つ「情報や事象に対する感性の鋭さ」を、わずかでもいいから持たせることから始めたい。
ということで、ナマの情報を得る訓練として、「ニュースや新聞に注意深く気を払え」と言い、次に、得た知識への判断力を高めるために「書物やセミナーなどで積極的な自己啓発を行え」と指示したとして、果たしてうまくゆくでしょうか。
そもそも、上司の感性のほとんどは、意思決定という成果につながるものでしょう。
意思決定にまつわる教育なんて、通常の学校の指導課程では組みにくい事柄で、専門教育を受けた経験はまずないでしょう。その上司自身がそうだったはずです。
大量の情報を整理統合する技術(統計学など)は学べますが、その結果から仮説を立てて組織的に実行させるケーススタディみたいなことは、高度なビジネススクールでもないと、体系的に学ぶことは実に困難です。
大企業ならともかく、ほぼ社長一人の力で引っ張る規模の会社では、部下に自分の感性を伝えて日一日成長する筋書きを用意してやらなくてはなりません。