スキルより感性を伝える部下教育

上司と部下のギャップを埋めるには、部下が育つことが必要です。
でも、教育に骨が折れるため、人材を外部調達したり、業務自体をアウトソースしたりもするでしょう。

そういった努力や工夫も行わない場合を考えてみましょう。
上司である自分と部下との間に横たわる“感性の溝”をそのままに、単純に「結果を出せ」とだけ部下を追い込んだらどういうことが起きるか?

前回のトピックだった「グラフ」を題材に、少し筋書きを考えてみます。

「お前の主張はワケが分からんから、とにかくグラフにしろ」と、部下の“感性覚醒度”や、現在置かれている環境などの背景を、まったく斟酌せずに命じたとしましょう。

すでに述べたとおり、グラフというのは、ありのままの事実が、誰かの思考や願望のフィルターを通り、バイアスがかけられた結論です。

グラフを作った部下の感性が、上司の感性とかけ離れていたら、ほぼ“虚構”といっても過言ではない。
となれば、虚構が固定観念や信念に進化する前に芽を潰しておくほうが、上司の手間は省けるはずです。

しかし部下は「とにかくグラフにしろ」と命じられています。
グラフ作成スキルを持つ仲間の意見を聞きながら努力するうち、とても見映えが良いグラフができてしまったら、それは強い説得力を持ち、作成に関わったメンバーは一致団結しやすくなります。