第3幕:経営者に感情移入するスペシャリスト

作業指示が無く、申し出るとどんな業務もさせてもらえる環境に置かれた私は、常にAccessの教則本を傍らに置き、売上集計を皮切りに、契約管理、速報作成、顧客分析など分野を問わずデータベースをあてがってみる日々を過ごしました。

当時、戦略とか戦術という言葉には関心もなかった。
でもなんとなく、経理という戦術屋より、会社全体をどうしていくかという戦略屋の働きをするには、作業指示のない混沌とした環境こそむしろ適しているとは思っていました。

「高い自由度を与えられた」と捉えた私は、意識せず戦略の磁場に立って、その磁力を内包したまま社内業務の一つひとつを行っていくことになりました。