第7回 <育成の3ステージ5プロセスとは?>

経営者と社員が、互いに無理な背伸びをしない、現実的な関係づくりを目指すことは、前回書いた「長く愛顧してくれるファンのような社員」を作るために必要な事柄です。

そして、そんな会社では「成長のための評価基準」が必要になるでしょう。

「入社してすぐに華々しい活躍ができる」とか、「活躍に見合った高額な給与がもらえる」といった幻想は排除しなければならない。
成長にはそれなりの時間がかかるからです。

そもそも、入社早々に会社の戦略を正しく掌握して大活躍できる社員など、私は見たことがありません。
いきなり社長に匹敵するスタッフが入社してくるようなケースが、実際にあるでしょうか?

会社に入ってきたばかりの新人は、まずは社内知識を得ることが第一でしょう。
周囲もそれを望むはずです。

いきなり企画系などでカッコよく働くのではなく、営業関連の顧客最前線や、あまり目立たない管理部門など、組織の中でも特に地味な部分から、社員生活が始まるのが一般的な姿だと思います。

つまり、地道な繰返し作業からスタートすることがほとんどでしょう。

まずは、会社の仕事の中でも特に、「戦術」の分野で成長し、やがてその効率を上げるために「仕組」を担う。

そこで「戦略」との関連性に気づけるとさらにレベルアップする。

会社に入った新人はおおむね、「戦術」→「仕組」→「戦略」と、3つの分野で順に成長するので、3つの成長カーブ(Sカーブ)を描くものとしてみます。

こちらの図表に示してみました(図表4)

戦術は初期ステージで「S」。仕組は中期ステージなので「SS」。そして後期ステージの戦略は「SSS」とクラス分けしました。

高い能力を持つ人材ほど、図の下段に展開する「成長プロセスの5段階(第5回で述べた①~⑤の区分を参照)」を早期にステップアップしていきます。

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S~SSSの各ステージは領域が分断されていますが、5段階のステップアップに連関してS字は前ステージの途中から開始しているので、たとえば経験知性の段階で高度な働きが可能になると、ステージ間の懸け橋となって戦術(S)から仕組(SS)へ突入します。

このことをもう少し詳細に記したのがこちらです(図表5)

次回からは、この表について解説していきます。
経営者、管理者の方々は、各段階にいる部下の育成を「どう行っているか?」、「どう行うか?」を想像しながら目を通してみてください。