第5回 <ゲームプレイを“消費”から“仕事”へ変換する>

「プレイヤーでは、稼げない」
だからといって、誰でも簡単にゲームクリエイターや実況者になれるわけではないので、結局ゲームとは趣味や時間つぶしのための消費対象になります。

ただ、働くことにゲーム的要素があるのなら、そこに楽しみを見出すことは可能かもしれません。

レベルアップした自分の容姿
次の目的地
身に付けたい技
働いた見返り

これらが魅力的に示されているような勤め先だとしたら、ゲームを消費しているだけでは得られない「収入」までが確保できます。

もちろん、一定の秩序の中で働くため、色々な制約がありますが、ゲーム上級者にとっては「縛り」こそ醍醐味です。

ゲームに参加する段階からその域に達するまでのステップを順番に示すと、おおよそこんな形になると思います。

ある世界観(価値観、理念)への参加を決定
最初は何も知らないが、経験から知識を得る
次に同様なことが起きたら、学んだ知識の応用で適切に対処する
やがては…
次の目標を自分で見つけ、そのための行動を起こす
行動する場所や時間、順序等の条件を見抜く
予測と実践において、知識を高度に使いこなすようになる

世界観への参加から知識の高度利用に至るまでを段階的に示すとこうなります。
①経験 → ②経験知識 → ③経験知性
この①~③までが、ひたすら繰り返す『戦術』とします。

このうち③の経験知性は、「この結果を出すためにはコレが最適」という具合に知識を昇華させているので、それをルール化して他人に伝えるための『仕組』の領域に踏み込めます

仕組を作り、他人に指示を与えて動かせる④統率性」の段階に入ると、パーティーメンバーの特性や習熟度に応じて、集団行動をコントロールできるようになります。

ルールを管理するという意味では『仕組』の領域を担当しますが、チーム全体で成果を上げるための取り組みがより高く評価されるので、『戦略』の領域が主たる仕事になっていきます。

ひとりきりで目的に向き合っていた頃とは、スケールがまるで違ってきます。
①経験 → ②経験知識 → ③経験知性 → ④統率性 となります。

指導者としての場数を踏むうちに、チームを複数持てば、もっと多くのことを同時に手掛けられると気づくようになります

たとえば、
プロジェクト(臨時組織)の同時進行
基盤セクションを備えた永続組織の立ち上げと運営
など、複数組織が会社の中で出来ることは実に多い。

こうなると⑤創造性の領域です。
100%『戦略』に専念する役割になります。

同じ「チーム力」を扱うにしても、④統率性の頃とはまるでスケールが違います。

こうして、戦術から仕組、仕組から戦略への道筋は、最後の要素が加わって5段階になりました。
①経験 → ②経験知識 → ③経験知性 → ④統率性 → ⑤創造性

ひとつずつ成長していく喜びを感じる社員

      ×

社員の成長から恩恵を受ける会社

この関係性が築けるかどうか。

先ほども述べたとおり、目指すテーマや見返りの獲得例が魅力的に示されている職場は、自由度の高いゲームに似た環境になるでしょう。