第3回 <給与の栄養素とは?>

「経営者として、自社の給与制度を今後どのように変えていったらよいのか?」
「いったい誰に、どう相談すればよいか。コンサルタントは本当に頼りになるのか?」
「細部まで全てを自分一人ではできない。では社員の誰にやらせればよいか?」

ここは悩みどころです。

人事部などの専門組織があり、そこに精鋭を擁しているような企業なら、社員に任せることも可能でしょうが、そこまでの体制はまだ組めないという会社もたくさんあります。

そこで、思い切ってアプローチを変え、「食物と栄養」といった角度から給与というものを見てみましょう。

上白糖や食塩、白米や薄力粉など、精製されて栄養素が削り取られた食材に頼りすぎると、長い年月の間に身体のバランスが崩すことがあります。

それと同じように、社員の働く糧である「給与」の制度を、統一解釈的な制度だけに頼り切ってしまうと、会社と社員の間で真の栄養の受け渡しができず、カネ(カロリー)だけは与えるが働き甲斐や活力(栄養素)は提供しないまま年月が経過し、栄養失調に陥ることがあります。

その緩和のため投与される「不文律(第1回、第2回参照)」は薬物のようなもので、不調時の一時しのぎだったはずなのに、服用が長期にわたることが多い。

すると、身体が本来持っていた自己回復の機能は退化し、その場しのぎの不文律を注ぎ足してごまかし続けることになってしまいます。

こうして経営者が悩む「給与体系の抜本的見直し」の問題が発生しているのが現実ではないでしょうか。

起業した当初は社長自身が行っていた社員ひとり一人への能力評価ですが、会社が大きくなると部下に任せるようになってきます。 できれば自分の...

身体は不調なのに、自分では「正常」と勘違いしているから、「ここが勝負どころ」と頭(事業意思決定)ではわかるが体(社員、組織力)がついていかない状態にもなるわけですが、ここにもどかしさを感じる社長や管理職はきっといるでしょう。

それは必ずしも社員の能力不足や怠慢が原因とは言いきれず、活力の素になる栄養素が摂取されていないことも十分考えられます。

現在、業務基盤は整えて、指示も間違っているとは思えないのに、なぜか結果につながらない不全感を自覚する方は、自社にあるはずの栄養素が正しく供給されず、栄養素が抜け落ちた「空のカロリー」ばかりを社員に与えている環境のせいかもしれません