第2回 <評価体制と給与体系の見直しがパンドラの箱に…>

評価と給与の特色で、例をひとつ挙げてみます。
コストセンター(管理部門)とプロフィットセンター(営業部門)の色分けなどはお馴染みでしょう。

できるのが当たり前で、頑張りが評価されづらいが、季節や天候の影響なしで働ける管理部門がいます。

一方、成果への報奨はあれど、ノルマに追われながら一年中雨風の中へ飛び出し、客先に出向いて頭を下げて回る営業部門がいます。

この両者が、互いに相手に嫉妬を感じて関係性に溝を生むことがあります。

どちらが有利とは言えませんが、組織単位で考えれば、カネを握っているところが強いという一般的な傾向はあります。

役所でいえば会計担当、民間企業においては経理や財務です。

経理は「これでは支払いを認められない」「在庫品や払出消耗品の管理が甘い」など、何かと上からモノを言い、稼ぎ手のはずの営業が唯々としてその言に従う光景は非常に多く見られます。

売り上げて稼ぎをもたらす営業が、なぜか稼がない管理部門のメンバーに頭が上がらない傾向がありますが、個人的には違和感があります。

当たり前のことですが、会計をやりたくて起業する経営者は居ません。

あくまでも事業が目的で経営しており、どちらかといえば会計は補佐的役割です。
創業当初を振り返れば、それが当たり前でした。

その点ではメインで事業を担う営業の方がよほど上からモノを言える立場だと思います。

ですが、ある程度の規模で事業をしたいなら、管理部門の充実も必須のものになってきます。

そう考えると営業は、江戸時代に領地(収入)だけは大きく与えられつつも行政の中枢に参画できない「外様大名」の役回りのように思えます。
一方、領地は小さいが幕府の要職を担った「譜代大名」は管理部門ということになります。

豊臣政権における武断派と文治派とも言い換えられます。
一生懸命に稼ぐ加藤清正や福島正則がかわいそうな所もありますが、日本中に大きく広げた勢力の統治には、石田三成の存在も無くてはならないものです。