第1幕:会計事務所からやってきた、会計を知らないスペシャリスト

私が会計事務所時代に常駐していたクライアントは、創立1年足らず、正社員4名のベンチャー企業でした。

会計のスペシャリストというふれこみで着任しましたが、当時の私は民間企業の経理経験ゼロ。
メッキがはがれたら雑用係へ回されるか、あるいは解任です。
さいわい、クライアントの経理事務は親会社で行っているので、社内には私のメッキを見破れる人は居なさそうです。

先にタネ明かししてしまいますが、結局最後まで経理経験が無いことは問題にされず、それどころか着任から約半年後には、経営立て直しのプランニングを任されることになりました。

このような顛末はかなり異例なことです。
私のいた会計事務所はスタッフ数が多く、クライアント先へ派遣されること自体が競争でした。
当然、経理経験が豊富な即戦力の持ち主が強い。
そんな中、入所すぐで経験ゼロの私が抜擢されたのにはもちろん理由があります。